短編1
□遅すぎたんだ
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それ以来、日番谷に彼女がいる時は互いに別々に。別れれば、また雛森を迎えに来て一緒に登下校をするのが二人の間で定着していた。
「せめて3か月は付き合いたいよね。」
「悪かったな、短くて。」
「やっぱ性格に問題有りなのかなあ?」
「人を欠陥人間みたいに言うな。」
「いっそ男の人と付き合うっていうのは?」
「馬鹿野郎!!気持ち悪いことを言うな!」
「あはは、冗談だよ〜。」
ったく…。と、しかめっ面を作ってみせるが、気心の知れた雛森との会話は日番谷にとっては落ち着けるもので、自然に笑顔が零れる。
「あたしは、やっぱり本気で好きな人と長く付き合いたいなあ。」
ポツリと雛森が言った。
「だって、そうじゃなきゃ楽しくないじゃない?」
ニコリと笑った雛森の目が優しすぎて、日番谷は前へ視線を向けた。
俺、なんで疚しい気分になってんだよ。
それから一か月後、再び日番谷は新しい彼女と付き合いだした。
明日から、また一緒に行けなくなったと日番谷から雛森へと連絡すれば、気にしないで、と返された。
「それより、今度は面倒くせー、とか言っちゃダメだからね。」
同い年なのに姉貴ぶって言う雛森に、僅かな寂しさを感じながら携帯を閉じた。
新しい彼女とは4か月もった。
日番谷にすれば最長記録だ。
けれども、嫌いじゃないが特別に好きな訳でもない相手と長続きする筈もない。
やはり日番谷は面倒になってしまって、彼女といてもいつも不機嫌面になってしまう。
いっしょにいても楽しくない相手とは、ズルズル付き合っても苦痛なだけ。
結局、また別れてしまった。