短編1
□暗示
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好きなんだ。と彼はハッキリと言った。
真っ赤になって。
いつものあたしをからかう彼じゃない。
本気なんだ。
「……あたし、は…。」
彼の瞳から目が逸らせない。
あたし達は暫く無言で見つめあってた。
日番谷君があたしの返事を待ってくれてる。
「…好きなんだ。雛森が……。誰にも渡したくないくらいに好きだ。」
何度も伝えてくれる
彼の瞳は真剣で、こちらが眩暈をおこしそうなほど
「……あたし、ごめんなさい。頭の中、グチャグチャで……。」
「俺のしたこと、嫌だったか?」
嫌……じゃなかった。驚いたけど嫌じゃなかった。
横に首を振ったあたしを見て日番谷君が優しく笑う。
そっと手が頬にあてられた。息が唇にかかる近さまで彼が来て…。
「馬鹿桃。教えてやるよ。何も考えなくていいから、俺を好きになれ。」
そして今日三度目の熱が頬に触れた。
「日、日番谷君…。」
翡翠の瞳が急速に熱っぽさを増していく。なんて速さ。ついていけない。
「…俺のこと好きになれ、雛森。」
祈りの様に
小さく囁き、彼はあたしの唇をふさいだ。
暗示にかけられた。
そう思った。
他の誰よりもあたしのことを知っている彼だ、思いこんでるうちに本気になるとでも思ったのかもしれない。
さっきよりも大分長い口付け。
心臓はバクバクしてて汗も出てきたけど、ふと彼の暗示に乗っかってもいいかと思えた。
だって彼の唇が微かに震えてたから………。
*
えーっ、また、いつものごとくダラダラと書いてしまいました。
思い込みの激しい雛森さんと、それを利用する日番谷さんが書きたかったのですが…。