短編1

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*平+日雛







九番隊の拳西のとこから帰ってきたら執務室で白桃コンビの仲良し姉弟がお茶をしとった。


毎度ながら俺の居らん時を見計らったようにこの十番隊のガキはうまいことやってくる。そして勘が鋭い冬獅郎はいつもいつも俺が隊へ帰る時間がわかっとるみたいに帰隊した時には痕跡すらない。戻った俺がそれとなく冬獅郎の来室がわかるんは桃が湯のみやらを片付けとったり、どことなく機嫌が良かったりするからや。
けど今日はやつの勘はどないしたんやろ?ばったり鉢合わせしてしもた。


「なんや来とったんか冬獅郎。」


「…………ちっ。」


「なんやなんやぁ!その態度はぁ!!なんで舌打ちやねんー!」


「隊長落ち着いて!!」



出だしから可愛げの無い態度を取られて好感持てるわけがない。桃の幼なじみでまだ子供や思て手加減しとるけど、もしこいつが大人やったら俺はきっと殴っとる。なんで普通に挨拶もできひんねん。



「あ、隊長もお饅頭どうですか?沢山いただいたんですよ。」


「饅頭ぅぅ?」


すがりつく勢いで俺をとりなす桃に目をやれば皿の上に美味そうな饅頭が3つ。なる程、これを今の今まで二人ラブラブしながら食っとったわけか。いい雰囲気のところで俺が帰ってきて不機嫌なんやろ。それくらいの察しはつくで。
けど、ここは俺の隊で俺の執務室。冬獅郎の好き勝手にいちゃつかせてたまるか。うっとぉしいくらいまとわりついて邪魔したる。手始めに俺は副官の肩に手を回し甘えてみた。



「桃ぉ、俺にもお茶ぁ。」


「はい、…っていうか隊長…重い。」


「平子ぉ!雛森に触るな!セクハラだぞ!」


「セクハラちゃいますぅ、俺ら仲良し主従やから、こんなん普通ですぅ。」


「あはは…。」


「普通って……雛森も笑ってんじゃねぇ!嫌なら嫌ってはっきり言わねーとこいつはドンドンつけあがるタイプだぞ!」


「大丈夫だよ。平子隊長はいつもはこんなことしないもん。日番谷君がそうやってムキになるから面白がられてるんだよ。」


「せや、これくらいでいちいち目くじら立てとったら嫉妬深い彼氏やいうて愛想つかされんで?」


「いいから早く雛森から離れろ!」


目にも止まらぬ速さでぱし!と俺の手を払いのけた糞餓鬼は赤い顔をしながらも威嚇を止めない。肩をいからせて下から睨む様は虎………というか子犬のようでなかなかに可愛らしい。


「もう…日番谷君たら、そんなんじゃ平子隊長の思う壺だよ?あたしはちゃんと日番谷君のものだから安心して?」


「ば……何言って…、」

あははと笑って「冗談冗談」と桃は面白がっとるけど、ちゃんと幼なじみの顔は見た方がええと思う。ガキんちょの顔、真っ赤やで。
死神のくせににこにこと天使の微笑みか悪魔の笑みか…うちの副官すごいな。
俺がいるにも関わらず幼なじみに冗談を飛ばす桃におとなしく冬獅郎が黙ってしまった。「自分のもの」発言が嬉しかったのかストンと腰を椅子に戻して誤魔化すようにお茶を飲む。いや桃は冗談やからな?本気にしなや?後で傷つくことになるんやで?



「平子隊長、重いんでそろそろ離れてくださいませんか?」


「あ、はい…。」


「離れろ平子。」


「あたしに触れる男の人は日番谷君だけなんですからね。」


「また…お前は冗談ばっか言いやがって…ったく。」


「あ、わかったぁ?うふふ。」


「……………。」




せやから桃は冗談やって言うてるからな。間に受けたらあかんで?そうクソガキ君に念押ししたい。いつも不機嫌そうに曲がった口元が盛大に緩んどるのは超嬉しいからやんな?
桃、饅頭もろてご機嫌なんはわかるけど、罪作りな冗談はその辺にしとこか。後々面倒なことになるかもしれへん。


そんな俺の心配をよそに白桃コンビはほのぼの空気。






え、俺もう一回出て行った方がええ?






 
 

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