短編1

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*当然、持ち主もサラッと突き刺します
















桃が復帰してきた日のことはよう覚えとる。ガラリと隊首室の戸を開けて新隊長である俺の所へ挨拶に来た桃は、四番隊の病室で見た時よりも大分顔色が良うなっとったからな。俺は元気そうな桃の姿に内心ホッとしたんや。


「長らく休職させていただいていましたが、雛森桃、本日より復職します。」


「おう、まぁ今日は初日やさかいにボチボチ慣らしていったらええ。これからよろしく頼むわ。」

「は、はい!こ、こちらこそよろしくお願いします!」


ピンと背筋を伸ばした彼女は真面目そのもの。裏も表も無い性格なんは一発で見てとれた。というよりも隠し事や嘘が下手なタイプやな。こういうタイプはただひたすら真っ正直に生きていくしかない。要領の悪い生き方しか出来ひんやつには同情するけど、嫌いやない。
緊張した面持ちの桃に俺は当面の仕事を簡単に説明し、下がるよう指示をした。その時、ぺこりと頭を下げた桃の髪が以前見た時と違うことに気がついた。たしか病室で見た時は肩よりも少し長めの髪を2つに括っていたような?いや一つやったか?いずれにせよこんな短くはなかったな?


「なんや桃、お前髪の毛切ったんか?」


「は?あ、はい。」


「えらい短こぅしたんやな。心機一転の現れか?」


「はぁ、まぁ、それもありますが…。」


「なんや他の意味もあんのかいな?」


「得体の知れない平子隊長をよく知るために、先ずは同じ髪型にしてみました。えへ。」


「えへ…て。」











おとなしそうなお嬢さん、桃のそんな見かけに油断した俺が阿呆やった。

可愛いらしい笑顔の裏にあるものに、今後俺は怯えることになる。



 
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