短編1

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*原作平+雛







季節の変わり目とか、雨の日とか、特に切欠となるものはない。そういう身体のサイクルなのかもしれない、時々胸が痛むのは。



今日はどうしてか朝から鳩尾が痛む。仕事を休むほどでもないし、苦痛に顔を歪めることもない。ただふとした拍子にズキンと痛いだけ。こんな痛みは時々おこる。一度卯の花隊長に診ていただいたら特に異常は無いとのことだった。雨の日には昔の古傷が痛むという人がいるけれど、これもそういった類の痛みらしい。きっと一生つき纏うもので、うまく付き合っていかなければならないものなのだろう。過去の戦いで負傷した皆もこんな痛みを抱えているのかな。きっと皆が見える痛みも見えない痛みも抱えているね。それをおくびにも出さない皆はえらいと思う。あたしもしっかりしなくちゃと思う。























でも、今日あたしは失敗した。


朝から何度となく痛みに襲われ、そのつど痛みを無視して誤魔化していたけれど平子隊長に午後からの予定を告げる際、少し、ほんの少しだけ顔を歪めてしまった。


「……っ、」


「どないしたんや?」


「いえ…何でもありません…。」


そう、何でもない。実際痛みは直に治まったし、呼吸一つで仕事の流れを止めることなくやり過ごせた。でも平子隊長はあたしの顔をじっと見て、暫く休憩してこいと言った。


「でもさっき昼休憩が終わったばかり……。」


「さっきはさっきや、ええから行ってこい。」


「でも私、今日中に仕上げなければならない仕事が…。」


「お前の仕事ぐらい俺がやっといたる。早よ出ていけ、ったく、どいつもこいつも痩せ我慢ばっかりしくさってからに。」


ぱっとあたしの手から予定表を奪うと平子隊長はサッサと席を立ち、あたしの机から紙の束を取り上げた。

なんだか前もこんなことがあった気がする。あの時も無理矢理一時間の休憩を取らされたっけ。



平子隊長はそれきり何も言わなくなった。黙ってあたしのやるべき仕事に手をつけている。


「平子隊長……。」


「なんや?」


「……少し横になってきます。」


「おぅ。」



あたしはぺこんと頭を下げて執務室を出て行った。

平子隊長の前であたしは無理をしなくていいのだ。もしかしたらあたしが過度に働けば彼は壁を感じるのかもしれない。
あたしはもう少し隊長に頼ってもいいのかもしれない。

気を張らずにそうなるには、まだもうちょっと時間はかかりそうだけど少しずつ距離を縮められたら、と思う。












ところで、どいつもこいつもって誰のことだろ?




 
 

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