短編1

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五番隊だよりB






*原作雛+リサ+平








矢胴丸リサさんが五番隊にやって来るのは最早彼女の日課なのだろう。


最初は同じ副隊長である七緒さんと雰囲気がよく似ていると思っていた。綺麗で知的で物静か、真面目でしっかり者な七緒さんは、決して出しゃばらずいつも一歩引いた所から冷静に事を見つめている人。リサさんはそんな彼女と同じ瞳に見えたのだ。

だけれども、明らか似てない所が一つ。




















愛読書が全然ちがーーーう!!!!!




今ではもう、かなり慣れたけれど、一番最初はスッッゴく驚いた。その、あの、男女の肌の露出が極端に多いと言いますか、絡み合ってると言いますか。要するに現世で言う発禁本が彼女の愛読書だという、これ平子隊長情報。


でも五番隊の窓枠にもたれて雑誌を捲っているリサさんの表情はとてもエロ本を読んでいる人には見えなくて、あたしは最初、彼女にお茶をすすめながら「何を読まれているんですか?」なんてにこやかに話かけたのだった。本の中身までは見えなくて、てっきり現世の情報誌かなんかだと思っていたから、まさかの答えに度肝を抜かれた。








『熱心に何を読まれているんです?現世の雑誌ですか?』
『あぁ、エロ本や。』
『………エ………すみません、よく聞こえなかったもので。もう一度……。』
『エロ本。春画っちゅうたら解るか?ほら、こういうやつや。』
『っきゃあーーーーー!!!!!』
『こらリサ、あかんで。こいつにそれは刺激的すぎる。』
『へぇ、そんならこんなんも見たこと無いか?』
『きゃああー!!』
『おいリサ、止めとけって。』
『こんなやつもあるけど?』
『いやぁあ!』
『………お前…面白がってるやろ……。』








なんていうやりとりは記憶に新しい。
あぁ…思い出しただけで顔から火が出そう。ある時なんかはリサさんが忘れて行ったソノ手の本を、五番隊に来てくれた日番谷君に退屈しのぎにと間違って出したりして、あたしはずいぶん恥ずかしい思いをした。



悪い人じゃない。仕事のことで困ってるとさり気なく助言をくれたりして、優しい人なのだと知っている。知っているのだけれど、アノことに関しては今一番の要注意人物だ。




そして今、そのリサさんがいつものように雑誌を手にして何故かあたしを見つめている。真っ正面から見られている。









 
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