短編1

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五番隊だよりA









*原作平+日雛






「おい……おい桃………。」


あかん、よう寝とる。
















俺んとこの真面目な副官は本当に真面目で、面倒くさい書き物の仕事も嫌な顔一つせずにサクサク片づけよる。休んでいた間、部下達には迷惑をかけたからと張り切るのはええけど、どこかで皺寄せが出てくるんやないかと思とった。


まぁ、うたた寝程度なら安心やけど。



真面目な副官は筆を握りしめたまま頭を揺らしてくうくう寝とる。小さな呼びかけでは起きひんくらいの熟睡っぷり。
俺は眠る副官とにらめっこをするようにこいつを正面からまじまじと眺めた。



長い睫毛やな…髪も真っ黒でさらさらや。さらさら具合なら俺の方が勝っとるけど。


隊員達から人気があるだけあって可愛い顔しとる、けど青白い。素直で一途な性格やとは聞ぃとったけど、こんななるまで無理すんなや。もしかして無理しとることに気づいてへんのか?
ほんなら素直で一途に加え、鈍感という言葉も付け加えたる。人のことはけっこう気がつくくせに自分のことは見えへんタイプなんかもな。


俺は眠る桃を見据えたまま溜め息をついた。


昼からは拳西んとこへ行って合同演習の打ち合わせをする予定やった。今度のは今までとは少し違うやり方を取り入れるつもりで拳西とあそこの副官と俺らで話を詰めるつもりやった。当日までに具体的な内容を決めとこうと思たんやけど……。


「………ま、俺一人で行くか、桃には後で伝えたらええやろ。」


俺は折り曲げていた腰を伸ばして寝ている桃の隣りへ回った。よく寝ている彼女を起こさないようにそっと小さな手から筆を取る。そしてゆっくりゆっくり、起こさないようにそっとそっと桃を抱き上げた。どうせ眠るのならもっと楽な態勢がええに決まっとる。


「ったく…なんやねん、こんな痩せた身体しよってからに。」


副官がどんどん痩せていくって…なんか俺のせいみたいやないかい。新しい隊長んとこの副官はみんな痩せていく、ちゅう噂だけはたってほしない。
俺は桃を長椅子に移動させながら心の中で雛森桃を太らせる決意をこっそりした。


「なんか毛布でも掛けといたろか…。」



と言っても手頃な掛け物がどこにしまわれているか俺は知らん。仕方なしに自分の白羽織を脱いで桃に掛けようとした時、戸の向こうで名のる者あり。間髪入れずに戸が開かれた。











 
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