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□ひと味違う
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B雛森









男の人に絡まれてたあたしを道行く人は誰も助けてくれなかった。泣きそうになってたあたしを救ってくれたのは日番谷君だけだった。御礼を言うあたしに背中を向けて去っていく後ろ姿は忘れようにも忘れられない。逆光に浮かんだ彼はヒーローのようだった。
それからあたしは彼のことが忘れられなくて銀髪の眩しい後ろ姿をひたすら捜した。長身で銀髪という特徴から、それはたぶん空座高校の日番谷君だと友人が教えてくれた。駅前で友人と歩く彼を見つけた時の感動をなんて表せばいいんだろう。あたしは神様の存在を信じてしまうほど震えてしまった。



「もーも、今日もおデートですか?」


終礼が終わって鞄に教科書を詰めていたら友達が隣に来てニヤニヤ笑う。冷やかしモードな目を向けられてあたしは苦笑した。


「デートじゃないよ。今日は塾があるから待ち合わせしていっしょに帰るだけ。」


「日番谷君て空座高校でしょ?どこで待ち合わせなの?」


「ファミマ前。」


「どこの?」


「そこの。校門出たとこの。」


「え!空座高校からわざわざ!?それ待ち合わせって言わないよ!お迎えだよ!」




あたしの机にバン!と手をついて前のめりになった友達は唾を飛ばす勢いだ。
だよね。空座高校とうちの学校の間を取るなら駅前辺りが打倒な線なのに一度待ち合わせしたその次の日、日番谷君はあたしの学校まで迎えに来ると言ってくれた。あまりにも申し訳なくて遠慮してたら「お前は歩くのが遅いから待ちくたびれる」らしい。 ちょっと凹む。


「いいなぁ。彼氏のお迎え」


「…そんなにいいかな?」




待ちくたびれると言った日番谷君は本当に嫌そうな顔をしててあたしの方を見もしてくれなかった。それだけじゃない、お喋りしてても不意にそっぽ向かれたりもする。あたしと話してると退屈なのかな?あんまり中身のある話なんかしてないもんね。


勇気を出して彼に告白をしたけれど……お付き合いをOKされて喜んだけど……なんだか辛い。
もしかして日番谷君は無理してあたしと付き合ってくれているの?







 
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