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□ひと味違う
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A日番谷






雛森桃は市内でも有名なお嬢様学校に通っている。かたや俺は自宅から一番近い公立高校。校内でばったり出会うなんて偶然も、同じクラスになる驚きも、一切ない。だから放課後に会うか休日にデートするしか雛森に会う手立ては無いのだけれど…。



「じゃあね黒崎君」


「後で教室に行くよ井上」




けっ。


背後で友人CPがいちゃついている。暑っ苦しいったらありゃしない。授業の終わりなんか待たずにサッサとどっか行け今行け直ぐ行け俺の半径5m以内に入るんじゃねぇ。


「はぁ…」


「どうした冬獅郎?」


「冬獅郎君、具合でも悪いの?」


「うるせぇ、リア充は早く消えろ」


「お前だってリア充だろうが」


「もしかしてまた別れたの?」


「別れてねぇー!」




井上の無神経な言葉に俺は立ち上がって叫んだ。
なんつー不吉なことを言うんだ。俺と雛森はまだ全然何も始まってないのにもう別れるだなんてありえない!
肩で息をする俺に黒崎は顔を引きつらせ、井上は素早く恋人の後ろに回り込んだ。


「お、落ち着けって」


「わ、別れてなんか…、ただ頻繁に会ってないだけで…」


「冬獅郎君泣いてない?」




なんで、なんで雛森は同じ高校じゃないんだ。なんで同じクラスじゃないんだ。なんで思うように会えない…ん…だ。


「冬獅郎…よっぽど惚れこんでんだなぁ…」


「ば…!なんで俺が!告ってきたのは向こうだぞ!?」


「でも今は〜?」


「ニヤニヤするな井上!」



なんで一方的に好意を向けられてる俺が惚れてる側なんだよ!惚れられてるの間違いだろ!それにそれに、


それに俺は泣いてない!



 
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