ss3

□ひと味違う
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@日番谷



*学パロ日雛





昔からデートと言えば映画だった。なぜなら喋らなくていい。
特に好きでもない女と付き合っていたせいだろうか、一日中二人で過ごしてると次第に会話が保たなくなってくる。女の繰り出す話題に興味が持てない俺は彼女と二人きりの時間がとても苦痛だった。
それって欠陥人間か?過去の恋人の顔も今ではさっぱり思い出せない。交わした会話なんて知るかってんだ。そもそも俺って彼女達の顔を見てたっけ?















「……っく、」


「……」


最近つきあい始めた雛森という女はこれまでの彼女達とは一味違う、気がする。
さっきからスクリーンに釘付けで号泣もいいところ。照明が落ちてから俺の方を見ようともしないでひたすら映画の世界に浸っている。ああああ、頬から滴り落ちる涙がまたぼたぼたと。暗闇で周りから見えないとでも思っているのだろうか?ああまた落ちた。
俺はそれが気になって気になって。
ハンカチを差し出すべきかスルーすべきか迷って迷って。
おい、少しはこっち向け。






「映画面白かったねぇ」


「まぁな」




全っ然集中できなかったぜ。


「特に最後の5分間の攻防が…っとごめんなさい、あたしばっかり喋って。えと、日番谷君はどのシーンが良かった?」


「………え?」


「ん?」


「…………えーと」


「ん?」


「……………。」




ごめん、お前の顔しか覚えてない。










 
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