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□ピタッとね
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*日雛パロ





高校の友達だろうか?知らないやつ………桃より背が高くて、向かいあう距離がただの友達にしては少し近い…。
そんな光景に俺の心臓はきゅ、と縮んだ。










桃との待ち合わせに遅れていけば、彼女は俺の知らない男と談笑中。咄嗟にナンパかと焦ったが桃の表情からその疑いは直ぐに消え、代わりに浮上したのが浮気の二文字。でも俺の桃はそんな女じゃないと頭を振って俺はゆっくりと近づいた。


「桃」
「あ、日番谷君」



俺を認めると桃はパッと此方を向いていつもの笑顔。変わりの無い表情に内心ホッと安心する。しかしそばにいた男の言葉に俺の気分は一変した。


「え、雛森君の弟…さん?あ、でも苗字が違うから…えーと?」


金髪野郎の目が俺と桃を行ったり来たり。お前の考えてることは手にとるように解るぞ。姉弟でなければ親戚か近所のガキだと思っただろ?高校生の桃がこんなガキと付き合う発想は毛頭ないんだ、違うか?




「もしかして生き別れた姉弟……でもそれにしては似てないし、腹違いの弟さん…?あ、ごめん!家庭の事情なんて詮索されたくないよね、なに言ってんだろう僕、ははは。」



本当になにを言ってんだこの男は。お前の推測がマジなら他人の家庭に土足で踏みこんでダンスしている状態だぞ。いいからサッサとこの場から消えろ。


あたふたと話す男の言葉はてんで要領を得ない。桃はこてんと小首を傾げて男が話し終わるのを待っているが俺はこれだけでこいつが桃に惚れているのが解っちまった。


つくづく桃が鈍感で良かったと思う。でなければとうの昔に桃は誰かのものになっていただろう。こんな輩が昔から桃の周りにはうようよいたからな。
以前の俺は身長や年齢が桃と見合うようになってからと我慢していたが、それを待ちきれなくて彼女に突進した。ダメ元覚悟、でももし断られても諦める気なんか無かったけどな。今は先手必勝は正解だったと痛感してる。


男の目がまた俺を見る。どこか余裕に見える態度が癪に障る。
身長、年齢、思考、価値観、そのどれもにおいて自分の方が桃に似合いだと思ってる。まさか俺が恋のライバルだとは思ってもいないんだろう。ふん、どうせ俺は中坊でチビだよ桃と並ぶと姉弟だよ。けどな、こんな年下の俺を桃は受け入れてくれたんだ。誰がなんと言おうと俺達は恋人だ。


野郎の目はまだまだ俺の全身を舐めていく。戸惑い混じりの瞳だけれど不躾に変わりはない。こんな視線に負けてたまるか。も一度言う!誰がなんと言おうが俺が桃の恋人だ!年下だろうが子供に見えようが関係ない。不釣り合いなのは知っている。俺の中で唯一不動で本物の気持ち。だから何ものにも臆するもんか。


俺は足を踏ん張って男を睨みつけた。こんな奴に一々怯んでちゃ桃が誰かに取られちまう。
相手を襲う一歩手前の野犬のように身構えた時、掌の中に温かい何かが滑り込んできた。桃の手だった。


「あ、あの、吉良君、紹介するね。この人あたしの…か、彼氏さん、デス」
「………桃…」


耳まで真っ赤で汗かいて。俺の指に細い指を絡めて桃は男に照れながら言った。
男の絶叫が辺りに響き渡る。オーバーなくらい驚く男を余所に桃は俺と目が合うとふにゃりと笑って「言っちゃった」ととろけそうに目尻を下げた。
恥じらいをちらつかせて、手をしっかり握って、無邪気ないたずらをしたような顔をする。
踏ん張っていた足が崩れてしまいそうだった。


青ざめて茫然自失な男に同情しないでもないが、こればかりは譲れない。俺達はクラスメートだという男に手を振って、手を繋いだまま歩き出した。






 
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