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□お役目の話
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*五番隊副隊長
急に片付け出した平子隊長に「は?」と返事をしたら凶悪な顔で睨まれた。なんなのよ、もう。
「あ、平子隊長、雛森、いらっしゃーい。」
「乱菊さん、こんばんは。」
「おー、つれて来たでー。」
「平子隊長お疲れ様です。」
平子隊長に軽く頭を下げた乱菊さんに隊長はネクタイを弛めてその隣りへどっかり座った。あたしが周りの十番隊隊士に挨拶をしてたら彼女は「あっちへ」と目配せをする。その目線の先には大きな隊士に囲まれて埋もれそうな日番谷君。
「日番谷君こんばんは。」
「あ!ひ、雛森副隊長!お待ちしていました、どうぞ日番谷隊長の隣りへ!」
「ありがとー。」
「では!俺達はこれで!」
「え?あ、あの、別に逃げなくても、」
引き止めても彼らの足は速い。
あたしが近寄るなり十番隊の隊士さん達はそそくさといなくなってしまった。そんなあからさまな態度ってある?いくら部外者だからって、そんな避けなくてもいいじゃない?
「傷つくなぁ…。」
「何がだ?」
はぁ、と溜め息をつくと日番谷君がこっちを向いた。
珍しく出来上がっちゃってる目つきにあたしはあれ?と彼を見る。
「もしかして日番谷君けっこう飲んだ?」
「飲むわけねぇだろばかばーか。」
はいわかりました。そうとう飲みましたね。
「ふぅ、まぁいいや。お腹減ったからあたし何か頼んでもいい?すみませーん、揚げ出しと茄子田楽一つずつ!」
お腹ペコペコなのでお酒を飲む前に食べてやる。
後から来たあたしに店員さんが速やかにおしぼりを出してくれたので、それを取って両手をフキフキ。
「おい雛森。」
日番谷君が徳利を上げてあたしに注いでくれる仕草をする……って、あんたが飲むんかい!
御猪口を持って受ける体勢を取ったあたしをどうしてくれんの。
「…日番谷君…今日は少しおかしいよね?」
「日番谷冬獅郎はいつも通常運転だ。」
凄くおかしいよね!
少々困ったちゃんな日番谷君にあたしは「うーん」と唸りながら乱菊さんと平子隊長達を見れば、返ってきたのは鮮やかなウインクとニッと見せられた白い前歯だけだった。