ss2

□170000h感謝小説「となりのお兄ちゃん」
1ページ/7ページ

2012117days「ゆっくり歩こう」内 「となりのお兄ちゃん」after story










いつも通りの春がやってきて、あたしは高校二年生になった。


身の周りで変わったことと言えばクラスが新しくなったこと、レストランでバイトを始めたこと。お隣の日番谷さんちの長男、ギンちゃんが中学時代の同級生と最近婚約したことと、シロちゃんが大学生になったことくらいだ。



シロちゃんは家から大学に通っているけれど、あたしも彼もバイトを始めたから前みたいにしょっちゅう顔を会わすことはなくなった。でも週二回のあたしの塾の送迎は何故か欠かさず続けてくれている。


いくら短距離で練習がてらとはいえ、さすがに毎回は申し訳なく、でも断っても聞いてくれなくて。
いつも悪いなと思い今年のバレンタイン、シロちゃんには少し奮発してしまった。


塾へ向かう車の中で、いつもありがとうとチョコの箱を渡したら、照れくさそうに受け取ってくれた。その後ギンちゃんとおじさんにも渡しておいてと少し小さめの箱を預けたら、シロちゃんは自分のと比較して満足げだった。
気のせいかその日は特に安全運転で、あたしは隣りのシートでこっそり差をつけて良かったと胸をなで下ろした。


やっぱりお世話になった人には余分に色を足したくなるもんね。
凍える季節の送り迎えはとても有り難くてあたしは恐縮しながらもシロちゃんの送迎に味をしめていた。

見返りを期待していたわけじゃないけど3月のホワイトデーにはシロちゃんがクッキーをくれて、じゃあ大学の入学祝いに何か奢るとあたしが言った。

馬酔木通りにあるパスタのお店で食事をした帰り、シロちゃんが今度は進学祝いをしてやると言ってくれて、彼のお母さんの車を借り、夜景の見えるレストランへ連れて行ってくれることになった。


贈って贈られての定期便。
最後は少し豪勢だねと言ったら確かに今年はいつもと違うなとシロちゃんが笑った。






 



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ