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□白がすき 碧がすき
〜それでも人は生きていく〜
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秋風の季節はとうに終わった。
今期最初の木枯らしが吹いたと夕方のニュースでお天気キャスターが伝えていた。

少し開けた小窓から隙間風が入りこむ。あたしは部屋が冷えるのを防ぐため、台所の小窓をぴしゃんと閉めた。


「冬獅郎ー、もうすぐご飯にするからおもちゃを片付けてー。」


台所で夕飯の準備をする。テレビの前で遊んでいる冬獅郎に声をかけたら「はぁい。」と素直ないい返事が返ってきた。


今日は珍しく日曜日に休みがもらえた。いつも土日は必ず出勤なのだけれど見習いのバイトが入ったことと、この間同僚の代わりに出勤したその振り替えの休みがここでもらえたのだ。

姉の勤め先でお世話になってる保育所は土日休みで毎週末ごとに冬獅郎を姉の家に預けていたのだけれど、今日はそれをしなくていい。
めざまし時計もセットせず、朝は二人で寝坊した。いつも保育所に行くため朝早く叩き起こしている冬獅郎も今日くらいはと、わざと起こさなかった。おかげで久々にのんびりした朝が迎えられた。

せっかくの休みだからと特に遊びに行くこともせず、ずっと家にいて、あたしは溜まっていた家事をし、冬獅郎はテレビをみたりおもちゃで遊んだり。出かけたと言えば夕方二人で近くのスーパーへ買い物へ行ったくらい。その帰りに小さな児童公園へ寄り道し、遊んで帰ってきた。

せっかく二人そろった休日をただダラダラと過ごしたわけだけれど明日からの英気は養えた。日頃あまりかまってやれない冬獅郎ともたくさん触れあえてとても贅沢な一日だったと思う。







あたしは冬獅郎がかたかたとおもちゃをしまいかけるのを見て土鍋の中に玉子を一つ割り入れた。

今夜は鍋やきうどんにする。
柔らかくて食べやすいうどんは赤ん坊の頃からよく食べさせた。なんとか箸を使えるようになった今では小皿に取って冷ましてやれば冬獅郎は一人でも上手に食べられる。


一人用の土鍋は二つ。
なんでもよく食べる冬獅郎はうどんなら一人前くらい食べてしまう。半年ほど前ならあたしの分を少し多めに作ってとりわけていたのに、子供って急に成長するもんなんだと一人笑った。

















もうすぐ冬獅郎の三回目の誕生日がくる

 
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