短編1

□impulse
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雪がちらつく寒い日にそれは突然起こった。

雛森と歩いていたらあいつが地面に張った氷にすべって後ろ向きにひっくり返りそうになったんだ。
咄嗟に支えようとしたが勢いづいた力には勝てず、雛森と俺は二人仲良くすっころんじまった。


「あ、いたたた。ご、ごめんね、日番谷君。巻込んじゃって。」


しりもちついて痛そうに擦っている雛森。
けれどそんな謝罪の言葉も耳に入らないくらい俺の脳はぶっ飛んでいた。


何故なら雛森と俺の顔の距離は僅か10cm。少し身を乗り出せば唇が触れ合う近さ。
ハタから見ればまるで俺がこいつを押し倒したようにみえるかもしれない。


「大丈夫?怪我してないかな?」


自分のせいで俺まで転ばせてしまったことに悪いと思っているのか、八の字眉で心配そうに問うてくる。が、未だ機能を再開しない俺の頭は、雛森の吐息を僅かに感じただけで完全に停止状態になってしまった。


「どうしたの?まさかどこか打って動けないとか!?」


真面目に心配して俺の身体を点検しようと細い指が俺の腕に触れたとき、身体だけが勝手に動いた。



雛森の小さな手は俺の両腕に。

俺の両手は雛森の背中、に。

「どうし……。」



俺は雛森の言葉と吐息を飲み込んだ。









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