短編1
□心配性な彼
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三席から伝えられた言葉に雛森は目を丸くした。
「もちろん日番谷隊長を筆頭に、ですが。」
いたずらな笑顔で言った。この人がこんな顔するなんて珍しい。
ぱちくりと雛森は彼を見つめかえした。
「日番谷隊長が副隊長にキツく言ってしまわれるのは幼馴染み故の気安さでしょう。副隊長だけにですよ、いつも長ーい時間お説教されるのは。本当に副隊長の資格なしと思ってたら今頃きっと無理矢理流魂街へ戻されてますよ。やりかねないでしょ?日番谷隊長なら。だから自信持ってください。」
幼馴染みとして日番谷に特別に思われていると言ってくれているのだろう。けれどあの長い説教はごめんこうむりたい。
雛森はクスリと笑った。
笑みの零れた雛森をみて彼も頬をゆるめる。
「雛森副隊長。日番谷隊長はある意味私達の代弁者です。あなたが血を流す姿は見たくありません。だからあまり無茶しないでくださいね。」
雛森よりも少し年上の三席は穏やかな笑顔をたたえながら伝える。
「はい。」
目はまだ赤いだろうけれども気分は落ち着いてきた。
日番谷君もこれくらい穏やかに言ってくれればいいのに、と思わずにはいられない。
そうすれば自分はもっと泣く回数が減るはずだ。
けれども、あの物言いこそが彼なのだ。不器用な優しさが雛森の胸を熱くする。
「あたし日番谷君に酷いことたくさん言っちゃったんです。謝りにいってきてもいいですか?」
「どうぞ、今日はお疲れでしょうからそのまま上がってください。そして、明日はいつもの元気な雛森副隊長で来てくださいね。」
「はい。」
深く頷き雛森は駆け足で五番隊をでていった。
きっと二人はもうすぐ仲直り