裏通り

□【曇天 ノチ 雨天】
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傘も差さずに話していた二人は、当然の如く濡れ鼠と化している。
「タオルのある場所は知ってるな?品物には手を触れるなよ」
アンティーク屋の言葉にああ、と答えてRainy Takerは店の奥を目指す。
店の主は客の返事を背中に聞きながら、扉を閉める間際、ふと空を見上げた。
見える限りの全てが昏く重い雨雲に支配された空を胡乱気に見やって、アンティーク屋は言葉を溢す。
「雨だから視えたのか、視えたから雨なのか。――結果と原因は、どちらが先に決まるんだろうな」
独りごちる言葉に、返事などあるわけも無く、アンティーク屋は扉を閉めようとする。
「――知らんな」
奥から聴こえた返事に、意外そうに眉を上げて、アンティーク屋はクスと一つ微笑う。
そうしてもう一度雨天を見上げて、嘆息と共に扉を閉めた。
微かな溜め息は雨音に流されて、自身の耳にすら届かなかった。







お粗末様でした。
緋月緋影
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