お題

□意味なんて無いんだよ?
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「貴様は清正についていくものだとばかり思っていたが」


三成は言う。当然だろう、だって私は仮にも清正とは恋仲なのだから。いや、『だった』というべきなのだろうか。


秀吉様亡き今、清正は三成と敵対する道を選んだ。もうどうしようもないことだ。


「私が西軍についたら迷惑?それとも、」


私を内通者だと疑っているのかしら。
そう皮肉めいた笑みを浮かばせてやれば、少し罰の悪そうに、そうではない、と呟いた。


「あれだけ何処に行くにも一緒だった貴様等がここで分かつとは思わなかっただけだ」


あら、男女の仲なんてそんなものよ?
私がふっと笑えば、俺には分からん、分かりたくもないとそっぽを向かれた。


「しかし…何故だ。何故西軍についた?」


「何故、ね。簡単よ。徳川に味方なんぞしたくなかった。ただ、それだけのこと」


清正と三成、どちらが正しいかなんて私には分からないし、そもそも答えなんてないのかもしれない。

正則は馬鹿正直に清正についていったけれど、私は狸の下で戦うなんて真っ平だわ。


「…そうか」


三成の返事には釈然としない様子がはっきりと表れていたけれど、彼はそれ以上何も聞いてはこなかった。


そう、私はただ、徳川が気に食わない。


ただ、それだけのこと。



意味なんて無いんだよ?



戦場の土に伏して物言わぬ、緋に染まった貴方を見て

本当は貴方の苦しみを終わらせたかったんじゃないかと

一瞬過ぎった私の心の内を、ごまかすように払い去った

嗚呼、どうか安らかに


2010/02/14


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