小説置場

□緑の緋瞳
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十六世紀――
王国が栄えた時代



彼女は泣いていた・・・
大きなエメラルドの瞳に大粒の涙を溜めて。

大きな窓辺から果てしなく続く星空を眺めて。

紅色の白い肌を伝って透明で鮮明な涙がキラキラと手に落ちる・・・

彼女はまるでその大きな星空に語りかけるように
口を開いた・・・。

『今もどこかで人が戦っているのね・・・』

そう・・・今この時代は世界一の国を決めるために大戦争が行われている。

彼女の後ろから青年の声がした。

『ローズ様、イリア様とロカル様がお呼びです。この様な場所にいては風邪を引きます。はやく起こし下さい。』

青年はローズと呼ばれた女の子にニコッっと笑い掛け一例した。

『あ・・イクス・・・御父様と御母様が?・・・わかったわ、今行く・・・』
そう言って涙を拭いて大きな城の中に入って行った。

イクスと呼ばれた青年はローズが泣いていた事について何も問わない。ただ黙って隣にいてくれる。
だからローズはイクスが大切な存在だった・・・
そしてもう彼女の緋瞳には涙はなかった







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