present

□その
1ページ/4ページ


渦巻くようなその感情に、


僕は呑まれた。




その先、




彼はいつでも僕に話しかけてくる。


「お、雲雀。はよっ!」


誰にでも声をかけ、
誰にでも笑顔を振りまく。


「…………、」


僕はいつでも声を出せないまま。


「山本っ! 遅れちゃうよ」


「あ、悪ぃ悪ぃ!」


「十代目に迷惑かけてんじゃねぇよ、野球バカ!」


「ちょ、獄寺君っ」


いつも楽しそうに草食動物たちと馴れ合って過ごしてる。


「ははっ! じゃぁな、雲雀」


ヒラリと手を振って、山本は身を翻して走って行った。


いつものように、僕はその背中をひっそりと見送った。


それくらいしか、僕には出来ないから。


その時に、いつもなぜか胸がギュッてなるんだ。


その正体が何なのか、
それにはなんて名前がつくのか、


知ったのはつい最近。






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ