present


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風が冷たくなってきた。


早く、ここに来て欲しい。




星降る夜




「ごめんな、雲雀…」


その言葉を残し、君は仕事へ出掛けた。


何で謝るのと聞けば、山本は困ったように笑い僕の頭を撫でた。


「今日、遅くなりそう」


「……そう」


「ごめんな」




空を見え上げると、いくつもの星が見える。


冬になり始めた最近は寒いけど、空気が澄んでいて星がよく見える。


風が吹き込み、身震いがした。


けど、君の手のひらの感覚が、まだ残っているようだ。
撫でられた所が温かい気がする。


「……山本」


撫でられた部分に触れ、山本を感じる。
こんなこと空しいだけだ。


「…………」


寝室に行っていつものようにベッドに潜り込む。


ダブルサイズのベッドは、僕独りには大きかった。
いつもなら、隣に山本が居るのだ。


寝返りを打って時計を見る。
時間は午前一時半。いつもならすぐにでも寝られるのに……。


山本が居ない。


それだけで、寝られなくなるとは…。


「…いつから……」


もう一度寝返りを打ち天井を見上げた。


「…僕はこんなに弱くなった……?」


僕だけしか居ないこの部屋で、僕の声だけが小さく響く。


「――…早く、」




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