小説1
□花火
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「スク〜っ!!まぁ〜だぁ〜?早く着かないと花火終わっちゃうよ〜?」
「じゃあお前が漕げっ!!!!」
「それはい〜やっ!!」
「なら文句言うなっ!!」
今、坂道を立ち漕ぎしながら必死に向かっている
後ろから、腰に抱き付いているこいつは細くて、今までどれくらいの重みがのしかかっていたのかと思うと、俺にもっとその重みを分けて、凭れかかってくれれば…と、そう思うのだ……
「あっ!スク!花火!!」
言うと嬉しそうな表情、いつもの作り物の笑顔じゃなくて
「うわっ…!ちょっ…、危ねぇ…!!」
自転車に立ち上がり、俺の肩に手を乗せてるお前
このままどっか、遠く連れ去りたいと思う俺
「た〜まや〜」
「んだそりゃ…?」
「日本の掛けことばってやつ…?」
「へぇ〜…」
近くまで行って、自転車を止めて
穴場を見つけた
あいつは立って、俺はその場に寝っ転がって花火を見上げた
少しして、寝っ転がっている俺の横にあいつは座った
花火を見ているこいつの目に、花火が映っていてそっちの方が目いった
「……終わった、…かぁ?」
「…ん、帰ろっか?」
「あぁ…」
真っ暗い中、のろのろと立ち上がり軽く服を叩いて自転車に股がる
「あ、かき氷食べたい…」
帰り道、出店を見つけてかき氷と、俺は焼き鳥を
自転車に乗ったまま食べる、食べ終わって少し悲しげ
「金魚すくい…、するか?」
「いい…、殺すから…」
言って、少し後悔
後の祭り
来た道を下る