忘れた未来
□輝くことがない薬指は貴方を想う証
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「鴇…あんね私、結婚することになったの。それで明日から東京に行かなきゃならないんだ。」
突然過ぎる別れに俺は何も言えなかった
−−−
鴇はホームにすら来てくれない
私は出発寸前の列車に乗った
座席に座って窓を眺めた
鴇?!
−−−
バーカ何泣いてんだよ…
お前らしくなさすぎだろ
ピーーッ
「………」
列車は去って行った
お前が望んだことなんだよな?
俺はポケットにある東京行きの捩れた切符を握りしめた
−−−数ヶ月後
俺はあの後、大金を手にするため東京へ出た
GAMEの会場がいつもと違って少し遠く、列車に乗った
するとお前があの時のように窓を見て座っていた
「……ッ」
無意識にお前を呼びそうになったが見えない席まで移動した
このままお前と一緒に居れたらどんなに幸せか……
そんなことを考えてると、やけにブレーキ音が大きく聞こえた
俺が降りるべき駅に着いた
今ここでお前に言葉をかけなければ、これから先、一生お前に会うことすら叶わないだろう
だが、もう決めたことだ…
それもまァ悪くない
俺はお前に背を向けた
「鴇!!ときっ!!鴇……」
俺はお前が呼び止めた声を気が付かないふりをした
列車のドアが閉まった
振り返ればまたお前は泣いてるのか?
今の俺じゃお前を幸せにできない
いつ死ぬかもわかんないんだ…
お前は幸せになってくれよ…
−−−
列車は鴇を降ろして走りだしたわ
ねぇ?鴇…私の薬指見た?
貴方をずっと待ってたのよ…
輝くことがない薬指は貴方を想う証
(列車に乗ってたらまたいつか貴方に会えるかしら…)
…fin