Plusα

□しいそうめとろのーむ
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親戚の誰かに憧れた両親が施した遺伝子操作はそのオリジナルと同じ姿をもたらした。
但し最高の遺伝子の組み合わせではないからか,中身の方はさっぱりだった。

本当に外見だけの薄っぺらい自分だったが,それでも嫌なわけではなかった。
この顔が異性にとって最高なのは揺るぎがないし,お手本さんの猿真似をすればそこそこ夜は盛り上がった。
アレックス・ディノはそうやってこれからも顔を武器に生きていく筈だった。

「本校での3年間が皆さんにとって実り多きものになることを祈っています。
ではこの後各クラスでオリエーティングがありますので…」

壇上で挨拶するのは生徒会長のアスラン・ザラ。はとこだったかまたいとこだったかとにかくアレックスのお手本さんだ。
なぜ奴がこんなところにいる。成績はトップクラス(というか主席)だからどこかの進学校に特待生で入学すると風の噂で聞いていたのに。

本物とは面識がない。あちらも知らない筈だ。それなのに奴はこちらを向いて微笑んだ。お陰で周りの女子が熱く沸く。

インテリ臭がぷんぷんする。完全にあれは自分と対局だ。入学式で新入生に微笑める男子高校生なんて気持ちが悪くて虫酸が走る。


ザラと言えばアレックスでも知っている大企業。生まれた瞬間から全てが揃っている。さぞや気分がいいだろう。



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