Plusα

□美女と野獣
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ある所にとても美しい双子の姉弟が住んでおりました。彼は発明家の姉と一緒に研究を繰り返しては,人々の役に立つ技術の開発に勤しんでいました。

ただこの姉弟は極度のお人好しと運の悪さで損ばかりしておりました。
特許を取ろうと開発する度にどこからかやって来た連中にもぎ取られ,商標登録したくても逆に訴訟を起こされたり。

「悪いな。キラ…またかすかすのパンしかない。ミルクも薄めないとフレンチトーストも作れない」

「しょうがないよ。このボロ屋じゃ音がだだ漏れだし,実験始める時間も終える時間も寝静まった時間も分かるからね」

「お前の技術で潤った他人が憎い」

「まぁまぁ,誰が開発したかなんて使ってくれる人には関係ないわけだし」

「なぁキラ。お前は街のラボに行っていいんだぞ」

本来なら特許代で普通の暮らしは出来る筈なのに。研究資材を買う為に生きるギリギリの生活をせざるを得ない。

「カガリが粉塵アレルギーだしね。街にはいけないよ」

目下再開発という大事業を行っている街では姉は生活出来ない。彼女は心と同じように体も環境に美しいものを求めているのだ。

「キラは行っていいって」

「冗談。母さんたちが死んでから,僕らはずっと一緒でしょう」

「キラ…て毎回これに流されてるけど駄目だって」

「強情だな」

「だってこうなってるのも全部あのボンクラのせいだろ」



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