Plusα

□白雪姫
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昔昔あるところに美少女小人がおりました。
世にも美しい小人たちは毎日仕事をしながら,面白可笑しく暮らしていました。
けれど爪を綺麗に塗った後で,水に触るとネイルも剥がれてしまいますし,お気に入りの一着を身に付けているのに料理や洗濯をすれば,服が汚れてしまいます。

そこで当番制を取り入れたのですが,7人分というのは結構手に余るものだったのです。
そんなある日のこと家に帰ると一人の男が倒れていました。

「やあね。玄関の前に遺体遺棄なんて」

「フレイ…この人多分生きてる」

「おいステラ水バケツに持ってこいよ」

「カガリさん。男らしい起こし方ですが,流石にそれは」

「ラクス様。ミーアが人工呼吸しましょうか」

「ええ。ずるいです。ミーアさん!!私だって格好いい人としたいです」

「メイリンあんた抜け駆けはしないで」

「う…」

かしましいのか男が呻いています。しかし安眠したいなら宿場に行けばいいのです。
ラクスはひとつ溜息をつくと男の前髪を思いっきり引っ張り上げました。

「……いてててて」

「申し訳ありません。ここはうら若き乙女の住む家でして,ストーカー希望者でらっしゃるなら早急に退散して頂けますか」

その前髪が禿げ上がり背骨が海老のようになる前に。そう続けるラクスにステラは小さな声で言いました。

「ラクス。その人血出てる」

今まで俯せで気がつかなかったのですが,彼の腹部は真っ赤に染まっていたのです。



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