Plusα
□秘密で花園
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キラは嘘をつかない姉が大好きだった。明るくて元気で,困った時は助けてくれた。
いつでも守ってくれると約束してくれたから,キラはよく笑って返したものだった。
『僕もカガリを守るからね』
ある意味今回のこれも,約束を果たすことになるのかも…しれない。
キラはひらひらふわふわした服に違和感を覚えながら,そんなことを考えていた。
門番に恭しく通された後,キラは冷や汗をかきながら,声を出さずに口上の練習を繰り返した。
「本日よりキラ様のお暮らしになるお部屋はこちらでございます」
立派な煉瓦造りの城はびっくりする程に大きい。それこそ王の住まう城に匹敵するくらいだ。
この区画は後宮のためだけに割り当てられている。
家柄の序列やその他諸々で多少は区別されるが,国内の有力貴族や他国の姫君が一堂に会する共同生活の場。
無論それらに仕える人もいるわけで,形骸化した花園制度に仰々しいものだとキラは肩を竦めていた。
そう今までは。
「はじめまして。オーブ領主ウズミの娘キラにございます。本日より皆様には」
「あらあら。そんな堅苦しいご挨拶はよろしくてよ。分からないことがありましたら何でも聞いて下さいな」
「プラントのラクス…様?」
さすが王様だ。この星で最大の知性を持つ国の姫を後宮に入れているとは。
可愛いうえに優しそうで,キラの緊張もほどけていく。
「あまり緊張なさいますな。よけいに目立ちましてよ?」
この後宮にお金を掛けていることからも,王の女好きは他国でも有名だ。そして気に入られるとしつこいのも等しく有名。
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