Plusα

□ハローサニーデイ
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ビタミンカラーといえば食欲を増進させ,気分を明るくさせる効用は有名だ。
キラ自身,ドイツのキッチン用品を思わせるポップなカラーリングには心惹かれるものがあるし,友人の女の子たちも同意見らしい。

雑貨屋に行けば買わずとも手に取ってしまう。だから赤とかオレンジとか黄色は大好きだ。ブルーベリーにマンゴー,レモン。フレーバーだってそれは同じ。

「ね!恰好良いでしょ」

フレイ・アスルターはウインクしながらそう言った。
彼女の部活の後輩で,キラの茶飲み友達のメンバーでもあるルナマリアとメイリンも,しきりにキラに繰り返してくる。

「そりゃ綺麗な顔だとは思うけど」

最近公園をよく訪れるようになったアイスクリーム屋。『ハロハロはっぴー』という恐ろしくご機嫌な店名をプリントアウトした移動式の店だ。
アイスを模したのか丸いピンクの球体マスコットがロゴになっている。

うら若い女の子が長蛇の列を作るのは,その店の店員がひとりしかいないことと,店員自体の顔の造作による所が大きい。

深い藍色の髪に翡翠の瞳。赤いシャツに黒いエプロン。どこぞのバリスタというならまだはまって見える。
しかも彼の赤はビタミンカラーな赤ではなく,渋めの煉瓦色もしくは血のそれだ。

「なんで接客業であの顔なわけ…よくお客逃げないよね。怖くない?」

アイスクリーム屋としての自覚が足りないのか,彼は愛想笑いひとつしないのだった。



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