Main U

□僕が女の子になりまして
1ページ/4ページ


常々、女顔女顔と言われていたがやっぱりあれはあれで男の顔だったのだろうなぁと、現実逃避にも近い思考の中でキラ・ヤマトは立ち竦んでいた。
姿見の前で絶句したのは数刻前。こころなしか大きい目と長めの睫毛、華奢な体からは筋肉量の減少が窺える。立つだけでどうにもバランスと取りにくいと思ったが、それはこの胸の膨らみも影響しているのだろう。

なんだこれ。本筋に関わる思考は全停止しているが、冷や汗とか今後の問題点に関してはどんどん出てくる辺り、キラもアスランのことを笑えないくらい仕事人間なのだろう。なんて、シンやアスランに聞かれたら殴られそうだが。

こういう時の原因は大抵プラントの議長様だと相場が決まっている。そうでなかったら、遺伝子の突然変異でキラ以外に症例がないとかでラボ行きだ。そんなの死んでもごめんである。
鏡の中の少女は間違いなくキラで、それもどちらかというと幼年学校時代のキラをそのまま引き延ばしたみたいな。この状態で白なんか着たら即刻でばれて面倒なことになるのは分かっている。

欲しいのは一般の緑だ。しかも女物。条件を満たしつつ、キラの為に動いてくれそうな人間が一人しかいない。
泣きそうになりながらキラは暗号回線を使ってオペレーターに連絡をした。

「ごめんメイリンちゃん。こっちで全部説明するから僕の言う物持ってきてくれない?」


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ