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□優しい人
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「世間はちょい悪がはやっているというのに」

ディアッカ・エルスマンはいきなりそんな脈絡のないことを言って肩を震わせ始めた。
キラの突拍子のなさはかねがね幼なじみから指摘を受けているところではあるが、この調子の良い黒服も大概だと思う。

まぁ彼の場合は話題が女性に関することだから、聞き手も心の準備なりがしやすいのだろう。現にイザークなどはもうスルーの態勢に入っている。

あれはディアッカの担当分だ。聞いていないだろうとつっこまれても『貴様の仕事を片付けてやった俺に文句でも言う気か』とか言って誤魔化すのだろう。

いつもはキラの傍にいてくれるシンもさっさと逃げてしまった現在。
キラは笑顔で聞いてあげるというオシゴトを始めた。

某准将がザフトを訪れているときの、この手の話題に相応しくない聞き手だとキラ自身分かっているのだが、友人に独り言を吐かせる程キラはニヒルになりきれない。

「それもけっこう昔な気がするけど。それで?」

「なのに何故!やっぱり女性は優しい男に走るんだ」


「君の場合はいつもいるからさ。見慣れて魅力も陰ってるんだよ。ほら期間限定って素敵な言葉じゃない。お菓子とかにもよく付いているし」

「影じゃねーこれは地黒だ」

「いやそんなお約束なボケ?つっこみかな?まぁどうでもいいや、とにかくいいからさ」

あぁフォローは難しい。


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