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□金貨よりも花を頂戴
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キラ・ヤマトはいい大人だ。MSでどんぱちやっていたのも今は昔。
散々可愛いと言われてきたこの顔だって、流石にそんな言葉も似合わなくなったようで、時の流れは偉大だと思っていた。
つまりそれは幼なじみで多分一生大好きであり続ける親友にも言えることで、昔みたいにバレンタインが来る度にやきもきしたりしなくていいと思っていた。
いくら恰好良くたって、若い子から見れば『脱走犯のザラ?誰それ』状態。
たまにやってくるオーブの軍人が実は同胞なんだよと教えてあげて吃驚されるくらいの、そういうレベルだと思っていた。いたのだが。
「キラさん、なんでまたそんな数日干してない布団みたいなオーラ出してるんだよ」
よき部下のシン・アスカが怪訝な様子で問い掛けた。
流石にお利口さんになって、ここ数年脱走という現実逃避をしなくなった上司の変容。危惧するのも致し方ない。
「いや。流石に凹んで」
「はぁそんなことあったか?定例会議もつつがなかったし」
「ねぇシン…アスランって恰好良いかな?」
「……それは俺に対するどういうプレイですか。キラ様」
キラの部下であり続けることイコール馬鹿っぷるに耐え続けることだ。
流石に最近は公共の場でくっついたりはしないアスランだが、それでも気分を害されるものは害される。
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