お題

□カミングスーン
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ぎこちないキスの後,ぎこちなく服を脱がせて,ぎこちなく服を脱いだ。
お互いに緊張しっ放しでベットが軋む度に,まるで咎められているように体を震わせ動きを止めた。

初めてだから。
そう短く,キスの間に告げられた意味が分からないアスランではない。

なるべく痛みを与えないように,念頭に置くのはそれ。大好きな人と繋がる行為だから,キラにも幸せになって欲しかった。

キスをして抱きしめる。口唇さえ離さなければ何とかなる気がしていた。緊張のせいで,肌を撫でてもキラの変化が読み取れない。

少しはキラの緊張を解してあげられているのか。こうなったことを後悔させたりしていないか。思考に翻弄されつつも,アスランはキラへの愛撫を進めていた。

こんな風にごちゃごちゃ考えていいのか。新たな疑問もキラへの好意ゆえ。
愛した彼との行為が,自分のそれに対する手順でいっぱいいっぱいなんて失礼ではないのか。

『恋おと』ではもっと余裕があって,ヒロインを感じきらせて,時には求めるあまりに泣かせてもいた。

キラがアスランを欲しがって,耐えきれずにそれを口にするにはどれくらい掛かるだろう。というか,そんなことがあるのだろうか。

上顎を舐めとりながらも,キラの声は素通りしアスランは負のスパイラルへ陥る。



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