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□意欲なし
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本日もプラントは快晴なり。
ただし白服キラ・ヤマト様の執務室では,赤服シン・アスカによって雷が落とされようとしていた。
「なっにっがっ5月病だぁ!こんの万年常春上司!!」
仕事が捗らない理由を,シンの愛すべき上司様はそう宣ったのだった。
普通,5月病とはしっかり仕事してる人間のエンジンが切れた状態を言うのではないか。
年度も改め,地味に仕事が増えるこの時節に,肝心の"キラ様"がこれでは示しが付かない。
「…最近シンってイザークとキャラ被ってない?」
ぶちっと大事な動脈だか静脈だかが切れた気がした。叫びたいのを堪えていると,キラは『春は大事なんだよ』とわけの分からないことを言っていた。
『―トリィ』
元上司が贈ったとかいうロボット鳥が,頑張れよと云わんばかりにシンの肩に乗ってきた。最近シンを慰めてくれるのは,皮肉なことにこの鳥なのだ。
何が悲しくて恋敵の贈り物に…と思いはするのだが,トリィに罪はない。
「誕生日くるから」
不意に呟いたそれが,働かない理由だと分かってシンは答えを待った。
「彼よりお兄ちゃんになるわけじゃない」
「ああ。5ヶ月な」
「だっ誰がアスランって言ったの!」
「アスラン以外いないだろ」
無敵のキラ様が何も手に付かなくなるなんて。
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