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□気遣い此方に
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「キラー」

よく通る双子の姉の声に,キラはくるりと振り返った。代表首長ともあろうお方が,勤務時間に弟とはいえ下の者を名前で呼ぶとは。

いつまで経っても,何度言ってもカガリは聞いてくれない。廊下は走るな,事ある毎に抱き付くな。
キサカやアマギがいくら言っても相手にしないせいで,今ではお小言もキラの仕事になっている。

太陽みたいに笑うカガリは可愛いので,あんまり本気ではないのだが。多分それも分かっている筈だ。カガリだって馬鹿ではないし,オーブ内でしか前述の行為は行わないから。

「どうしたの?カガリ」

笑顔で答えれば,カガリも笑顔で返してきた。

「これアスランに渡しておいてくれ」

これまた笑顔で紙を渡され,キラも中身をざっと確認する。

「仕事?でも昨日終わらせてたよね」

「あぁ!だからそれは新しいやつだ」

にっこりと言い切った姉に,ふーんと生返事し,目の前で紙を破り捨てた。

「おいキラっ!何してるんだ。資源は大事にしろよ」

「だってアスラン最近ちゃんと寝てないみたいだし…。怒んないでよ。後で元データ送ってくれたら僕がやるから」

「ったく!お前はあいつに甘過ぎだ!」

思いっきり指をさされて,キラもびくりと体を震わせた。可愛い姉が鬼のようで,本気で怖かった。



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