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□諦め
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僕は理想主義寄りだし,夢も見がち。だけど実際はもう1人の僕がちゃんといて,何をするにも冷静だ。
そして『あの日』をきっかけに僕は冷静を全面に出す。違うか。冷たいだけだ。
・・・【諦め】・・・
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「僕バージンじゃないし,不感症だから」
アスラン・ザラは絶句した。アカデミーの時から密かに思いを寄せていたキラ・ヤマト。同性にも関わらず好きになって,散々悩み抜いて告白した。
「優等生にそんな性癖があるのは意外だけど。ここじゃよくあるよね?」
別にアスランだって,何かしたいと思わなかったわけじゃない。男だし,性欲だってそこそこにある筈だ。
だが,今すぐどうとかはなかった。ただ本当に好きだったから,伝えたかっただけ。
「それが‥君の返事なのか?」
「あ,ごめんね。じゃあ傷付けついでに教えてあげる」
軽薄な声音が優しいものに変わって,アスランは逸らしかけた瞳を合わせた。紫は悲しいくらいに真っ直ぐこちらを見ている。
予想外の行為だが,幾分同情めいた物を感じ取り,そのまま言葉を待つ。
「恋愛は勘違いみたいなもので,SEXはなんてことないものだよ。とってもツマラナイ」
「それは俺の気持ちに対しての考えか?」
「んーん。僕の真理」
慰めなのか,はぐらかしているだけなのか分からない。
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