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□あの星に一等甘い口付けを
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1年に1回だけ逢える空の上の恋人たち。
随分昔に,空の上には星座のシンボルたちも,まして恋人たちもいないと知った。

未だにキラはそんな話が好きで,通信越しに短冊なんか選ばせてくる。電気も点けずに,通信画面の光がキラを照らす。

『アスランは何色にする?紙飾りのトリィとか作れる?』

白服が両手に,折り紙とスティックのりを持っているのは何とも言えない。はしゃいでいるのは可愛いが,その飾りが"かつて書類だった物"だったりしたら,部下が可哀想だ。

「なぁキラ?」

『んー?何?作ってくれるの?』

「いや。年に1回しか逢えないのと,毎日通信出来るけど,全く逢えないのってどっちがいいんだろうな」

悪い。ちょっと言ってみただけだ。
そう続けて,画面の向こうに微笑みかける。確かに今の自分たちは,大気に分かたれた恋人同士だ。星だってきっと沢山。

だけどそれは何かの罰で,誰かに強要されたわけではない。自分たちで決めて,納得して離れた。

さっきのは,寂しくてつい本音が出ただけだ。そんな格好悪いことをキラに言えるわけもない。
いつだって自分は,キラが望む言葉を投げてやらなければいけないのだから。

画面の向こうでキラは何も発しない。引き結ばれた口唇に,しまったと内心で思う。



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