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□意欲なし
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「まぁいいや。でさ。また1つ大人になるとはいえ僕だって,健全な青少年なわけだよ」

「なんで後半小声なんすか」

キラにつられてシンまでぼそぼそ話し出す。広い執務室には2人以外誰もいないというのに。

「だからっそれを言うから落としてるんじゃん!」

「はあ…」

「いい?春じゃん。なんかふわふわするじゃん。やりたくならない?」

春は頭の沸いた人間が,色々やらかすと昔から伝わっている。万年常春のこの上司様はくそ真面目にこう仰った。シンの思考が2,3秒止まる。

「なっななな何イッてんだよッあんた」

「本当のことじゃん!何か引っ付きたくなるし,ちゅーした〜い!」

「阿呆か!普通人恋しくなるのは秋とか冬とかだろうが!」

本国がオーブ同士だから出来る会話だろう。プラントでは,そこまで細かく気候調整はしていない。
つまりこの宇宙空間で,季節と体調を結び付けるのには無理がある。

無理をやるのがキラ・ヤマト。それは今までの経歴も語っている事実。

「とーにーかーく!!若いんだからってのはあるじゃん!シン君だって好きな子がいたらムラムラくるよね?手出したいでしょ?」

当の本人にそう言われても。キラは未だに分かっていないらしいが,一応シンだって気持ちは伝えた。


好きな人はキラだ。ここで肯定すれば,キラに何か『したい』に直結してしまう。

流石にそれは憚られる。だってシンは唯一の常識人だ。



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