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□気遣い此方に
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幸い高い地位を貰ったので,滞りがちな決裁を優先している。カガリやラクスの意向が分かるからこその即決だ。
それと並行して,ロワークラスの処理を行う。連合の復興支援用の部隊編制。情報交換がスムーズになるように,管制システムの無駄を省く。
キラは組織構造に明るくないから,アスランに教えて貰って少しずつ覚えた。根を詰めるなとアスランはよく言うけれど,キラが頑張るのはアスランの仕事を減らしたいからだ。
油断するとすぐに,追加の仕事を引き受けるから。頼りになるからと任せっきりにするのは頂けない。その辺りを上手く言えたらいいのだろうが。
「ただいま…」
「お帰り」
カードキーを通して,開いたドアから見えたのはアスラン・ザラの後ろ姿。かたかたとPCのキーが軽快な音をたてる。
近付く主人の姿に,トリィがアスランの肩から飛び移る。ただいまと其方にも応えて,足早にアスランの方へ向かった。
「ねぇ…一応聞くけど何してるの?」
「仕事だが」
ここでネットゲームとか言ってくれれば,どれだけ喜んだろう。アスランはキラに視線をやって決定打を放つ。
「ったく。あまりカガリに迷惑かけるな」
「……はい,ごめんなさい。僕が悪かったですっ。もう寝ます!」
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