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□気遣い此方に
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そんなキラの様子に辟易したのか,自らの仕事の分配を反省したのか。(恐らく両方だろう。カガリはキラ馬鹿だから,アスランのことばかり口にするキラは嫌なのだ)
大きく溜め息をついて,カガリはやれやれと頭を軽く振る。
「ったく。分かったよ…確かに仕事は詰めすぎたし…寝かせてやれ」
「カガリ…!」
ありがとうと眼がキラキラと語っているが,あんまり嬉しくないカガリであった。
「はぁ…」
カガリの姿が見えなくなってから,キラは力なく吐き出した。どうして皆,キラがアスランを甘やかすと思うのだろう。
いつだって甘やかされていたあの日々を,知らないせいだとは分かってはいるが。それにしたってアスランへの扱いはあんまりだ。
ラクスとカガリが主導で世界を牽引してからこっち,到達点は朧に見えるようにはなった。ただ,それへの課題は山積みで,被災地へのケアなどやるべき事が多過ぎる。
キラとアスランはコーディネーターだから多少の事では倒れない。起きている間に日付を2度跨いだりと,完徹がざらになった。
いくら能力が高く人の5倍働いたとしても,量が多いせいで実感がない。無理をする意味があるかと問いたくなるが,目の前のことに必死だった。
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