tactic×geass
□2、だから君は何一つ手に入れられないのだと
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君は優しいから、だから孤独になってしまうのだと、彼はいった。
欲しいものも守りたいものも、大事にしすぎるからこそみんな気付いてくれないんだと。
だけどそういう彼の顔の方が、何もないと告げているように、想えた…。
「君は、優しすぎるんだよ」
「…優しくなんて、ない」
何度も彼は、俺を優しいという。
血に濡れ、全てのものを騙して手の平で踊らせている、こんな自分を。
「妹の為の優しい世界。妹を守る、そしてその妹も、騎士も気付かないようにとされる世界。守りたいものの為の場所。そしてそこには妹だけではなく大っ嫌いなあいつも、生徒会のみんなも、みんなみんな欠けることなくいてくれる世界。…そんな理想郷の為に身を削れる愚かで優しい君」
「…けなしているのか?褒めているのか?」
「うーん、選択するならけなしているのかな?」
彼は、鮮やかに、綺麗に笑うと思う。
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