etc(文)
□消えない香り
1ページ/4ページ
口調、性格、笑い方、なんだかんだと昔から見知っている彼のせいでなんとなく彼と似ている節が多々ある気がするのは気のせいではないだろう。
そして恐らく、何もいってはこないがそんな彼との共通点も、口にはださないが恐らく渡辺も気付いている筈だ。
あのハカマニアなんかは気を使うというものを微塵にもみせずに
「少将殿と勘太郎サンは昔からのお知り合いですか?」なんて聞いてきた。
だから、これ以上何か彼との共通点をつけるなんて、まるで彼に依存してるみたいなことはしたくない。
…のに、
「…一ノ宮センセ、煙草吸わないでよ」
「は?お前煙草苦手だっけ?」
前から幾度か注意した筈なのにあっさりと忘れるこの非常識な人に溜息がでる。
「…何回かいったでしょ」
「そうだっけ?」
ま、無理矢理呼ばれてる身なんだからこれくらい自由にさせろと相変わらず消す気のないその姿勢に呆れてものもいえない。
「いーじゃんあんたはこの呼び出しだけでお金を貰えるんだから」
「僕は自分のやりたい仕事しかしない主義なの」
だいたい給与がなかったらこんなとこには来ないよときっぱり言い捨てる彼にだから貧乏なんだといってやる。
(まぁ民族学と裏仕事だけで…勿論あの妖狐の働きもあるのだろうが、それだけで3人(いや、正確には妖怪が2と一人)の生計をやり繰りするのだからまぁそこそこの収入はあるのだろうが)
.