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□覚めてからまたみる夢
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ぎゅう、と抱き着いてみればふわりと甘い香りが自分を包んだ。

ふわふわの白い生クリーム、甘酸っぱい苺、沢山の果物やらプリンやら他にも沢山の彼女からくる香りをいっぱいに吸い上げる。

けれど、この中でも何一つとして勝てない彼女からくる特有の甘い香り、この匂いが好きで彼女の首に顔を埋(うず)めてみる。


「んー、探偵さんいー匂いするー」

「いい匂いって…というかサイさんやちょっと近くはありません?」


今度は特大シュークリームをと手に持ちながらなすがままにされていた彼女は漸く抵抗の意をみせた。

(正確には常に食べ物を持っているから抵抗ができないだけなのだが)


「だってこうしてる方が探偵さんのあったかさも匂いも全部わかるもん」

「い、いや匂いってただ今持ってるデザートの匂いが移っただけじゃないの?」

「弥子の匂いが好きなの!」


時々、ほんとに気分がいい時だけ呼ばせてもらう彼女の名を呼ばれては彼女も苦笑するしかないらしく、はいはいと軽く返事をし空いた片手で俺の髪を撫でてきた。


「…じゃあ私の匂いってどんなの?あ、も、もしかして汗くさくはない!?」


はっと気付いたように脇元に鼻を寄せる彼女がおかしくて笑顔で首を横に振る。


「変な匂いじゃなくて…んー、甘い、のかな?うん、これって何か香水とかつけてるの?」

「えー?私はあまりオシャレにも興味がないからどっちかっていうとお小遣いは全部食費にいっちゃうかなー」


たはは、と笑う彼女の台詞にやはりと納得する。

なんとも予想通りの解答にそれならばいつも彼女からくる香りはなんなのだろうと不思議になる。


「探偵さんは変な能力持ってんだねー。…あ、じゃあ俺みたいに顔とか変形できるの?」

「できるわけないでしょ!サイが特別なんじゃない!」


むに、と頬を引っ張ってみるが柔らかいという感想以外はただの人間と変わりはない。

強いていうならよく伸びる?
こんなに食べて肉が一切吸収されない身体をしているのにここまで伸びるのはある意味普通ではない、のかもしれない。




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