etc(文)

□始まりを告げた銃声の音
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大好きで大切で、だから遠避けた
だから知らないふりをして
だから突き放した

普通の人間として生き、普通の人間としての生活をしていてくれればよかった。

信じる幼馴染の傍で笑い生徒会長として周りから尊敬されあわよくば普通の女性と普通の恋をして幸せになってくれたらいい、と。

―――なのに、


名前を、呼んでしまった。

事実を教え、全てを悟らせてしまった。

驚愕、驚き、恐怖、恐れ、発砲。

銃声の音、落ちて堕ちる身体。

鈍い痛みが外した急所から広がり、滲む。


絶望の顔。

笑みが、零れた。


幸せになってほしいと願う気持ちに隠れた醜いエゴ。


ねぇ、俺を知って俺を呼んで俺と俺を俺に…


『 音弥 』


大切だから遠避けて大事だから無知のままでいてほしかった。

だけど

愛しいからこそ触れたくて想っているからこそその分の想いがほしかった。


蛇口を捻れば水道を通り水が流れる。

同時に、あの時の音弥が脳裏を過ぎた。


歪んだ心が俺に笑いかけた。



なぁ、これで音弥は俺に捕われただろう―――…?




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