etc(文)
□空の境界を追い掛けて
1ページ/3ページ
僕と世界、どちらを取りたい?
にこりと笑う、その笑顔。
不思議と恐怖はなく、ゆっくりとしかし迷うことなくその手に伸ばし、重ねた。
伝わる、ほんのり冷たい体温。
目の前の男が冷たいと笑った。
ばか、冷たいのはお前もだろと仏頂面をすればそっかとわかってるのかいないのかふわりと抱きしめられる。
やはりその体温は冷たくてそれでも゙人゙である温もりが嬉しくて、思わずははっと笑い声を上げてしまった。
お前が逃げたいならこの世界から連れていってやる。
傍にいてほしいというならその手に重ね、こんな醜い世界…
ね、音弥。
なんだ?
…大好きだよ
……知ってるよ
む、じゃあ音弥はどうなんだよ
……好きじゃなければ、一緒に逃げようなんて思わないだろ
ふふっ、音弥
……
誰もいない場所へ、いこうよ
.