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□『貴方へ』
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「兄さん兄さん、」



その声と共に、繋いでいた右手を引っ張られイタチは足を止める。

如何したのかと思い振り向いてみれば、

どうやらサスケの視線は、花屋の店先で縫い止められているようだった。



「花屋が、どうかしたのか?」



イタチが問いかけるも反応はなく、

サスケは繋いだ手をそのままに花屋に向かって歩き出した。

自然と手を引かれる形となったイタチは、

大人しくサスケのしたいようにさせた。



「兄さん、どの花が好き?」



花屋まで来て、やっと振り向いたサスケは、

店先に置かれている様々な花を指差しながらイタチに問う。



「なんだ。それが聞きたかったのか」

「うん。ねぇどれが好き?」



「そうだな…これ、かな」



指差したのは、

淡く紫がかった青い―――



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