大乱闘小説
□蒼髪の剣士と爆弾魔
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何故俺は、こんなに奴のことを気にかけているのか。
奴は、俺のことをどう思っているのだろうか。
…俺には、何も解らない。
奴と初めて逢ったのは、この屋敷に来たとき。
奴も、俺と同じ『新入り』だった。
逢ったと言っても、まだ会話もしていない。
奴はいつも、屋敷の庭にある大木の根本で寝ているからな。
起こしたりなんかしたら、きっとあの金に輝く大剣に斬られるだろう。
そう考えると、なかなか話し掛けられずにいた。
ただ、何回か近くに行き、観察したことがある。
…変態じゃないぞ俺は。
ちょっと見ただけだ。
…蒼い短髪に、整った顔立ち、細身の身体。
黄金の大剣を、いつも傍らに置いていた。
「…はぁ…」
どうすれば、話し掛けられるだろうか。
答えが解らず、ため息をつく。
「ダンボールおじさーんッ!!」
「うおぅ!?」
突然、ピンクの球体が俺に飛び付いてきた。
「何をする…えっと、お前は確か…カービィ?」
怒ろうにも、相手の名前の記憶が曖昧な所為で勢いが無くなっていく。
「そっ、カービィだよ☆」
どうやら合っていたようだ。
「コラ、人に急に飛び付いたらダメだろカービィ!」
そう言いながら俺からカービィを引き剥がしてくれたのは、翠の瞳を持つ狐。
カービィの保護者的存在、フォックスだ。
「悪いなスネーク…大丈夫か?」
「あぁ、平気だ」
「だってさぁ、おじさんったらずっとボーッとしてんだもん!フォッくんだって気になってたでしょ!?」
「…まぁ確かにな…
スネーク、何か悩みでもあるのか?」
…勘の良い男だな。
俺は、悩みを二人に打ち明けた。
奴の…アイクの事が気になって仕方ないこと…
そして、奴に話し掛けることが出来ないこと…
「…なるほどな」
「おじさん、青春だねぇ」
「コラ、茶化すなカービィ。…アイクのことなら、マルスが知ってるんじゃないか?」
「…マルス?あのキザな王子か?」
「そう。二人とも似た服着てるし、仲がいいのかもしれないだろ?」
「…ふむ…分かった、行ってくる」
「行ってらっしゃーい!」
「頑張れよ、スネーク!」
二人に見送られ、俺はマルスを探す為、屋敷へ歩いていった。