星狐小説
□身勝手な居候
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アイツなんか嫌いだ
むしろ大嫌いだ
…アイツがちょっと帰ってこないからって
『淋しい』なんて感じる
自分も大嫌いだ。
アイツが、一昨日から帰ってこない。
二人してスターウルフをクビになったときに
「助けてぇな、おんなじような人生送ってる仲間やないか−」
とか言って、半ば強制的に俺の基地に居候しといて、
…仮にも、家族みたいな関係築いといて、
どこへ行ったんだよ…!
…て、何だこの気分は。
怒りとは違うような…
まさか、淋しさか?
バカな、そんな筈はない!
俺はアイツが嫌いだ。
金好きだし、傲慢で我が儘だし、食欲は異常だし、
…俺を『お坊ちゃん』なんて呼んで、しかも腹立つことに頭を撫でてくるし。
身長はアイツの方が低いのに…。
俺ももう大人なんだからやめろ、と言っても、
「何言うてんのや、ワイから見れば坊ちゃんも子供やないか」
とか言われて、言い返せなくなって…
結局、やめさせることは出来ないでいる。
…少しだけ、ほんの少しだけ、だけど…
また、あの手に頭を撫でられたいと
悔しいが願ってしまった。