隠の王


□今年にさよなら!
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「がうー!仕事終わった?」

「はい。今終わっ…てちょっ…!!」

私は俄雨が返事を言い終わらない内に勢いよく抱き着いた。

「待ってましたー!!ずっと待ってたー!!!」
「知ってますよ!知ってますから離れて下さい!!」
「なんで?」


今日は俄雨にくっついている(というか俄雨がくっついてるんだけど、悔しいから言わない!)雷光もいない。
クリスマスも終わったのに、今さら彼女のところだろうか。
雷光がいると恥ずかしがってか俄雨は私といちゃついてくれない。
普段もあんまりいちゃついてはくれないけど、

だから今日は俄雨といちゃつく絶好のチャンス!




ごろごろと俄雨の膝の上に猫みたいに頭を乗っけた。
いつもならこんなことしたら絶対怒られるのに、雷光がいないからか、何も言わない。こんな時ばかりは雷光に感謝。


「仕事が終わると暇ですね。」

「いーんじゃない?年末だし、暇が一番だよ」


カレンダーの日付はもう既に12月30日を指しており、今年の残り少なさを実感させた。


「がうっ!!」
「わ!なんですか!?」

俄雨は、私が急に叫ぶもんだから、大変びっくりした様子。

「今年もお世話になりました。」

「え、ええ…こちらこそ」


私がお辞儀をすると俄雨もならってお辞儀をした。


「私ね、今年も来年も再来年も、俄雨のことずっと好き。」
「はぁ…」

珍しく真剣な表情の私に俄雨は少しばかり戸惑っている様だった。


「俄雨はどう?」

私の直球すぎる問い掛けに暫く俯いて口ごもっていたけど、私の真剣さを受け取ったのか口を開いた。


「僕も…来年も再来年も好きですよ…」


俯いて、顔を真っ赤にしながら呟いた。


今年にさよならっ!

(がうちょう好きー!!愛してるー!)(そういうこと大声で叫ばないで下さい!)







20081228

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