隠の王
□同棲からはじめましょう
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お風呂上がり、くしゃくしゃと頭をタオルで乾かしながらリビングに続く廊下を歩く。
「雪見先輩ーっ!お風呂どうぞ!」
「……どうぞってなぁ……」
先輩はどうやら締め切りも終わり、しかも最近は隠の世の仕事も無く、久々のゆっくりした夜を満喫していた様だった。
「ここ、お前ん家じゃねーし!!!!」
「まぁまぁ、いいじゃないですか。」
軽く先輩の説教を流して、冷蔵庫から買い置きのビールを取り出した。
「久々の静かな夜にかんぱーい♪」
「……お前は人ん家で風呂入って、ビールまで飲んでく気かよ…」
「はい。」
平然に頷くと大きな溜め息をつかれた。きっと疲れてるんだわ。うん。
今はリビングに二人きりだ。宵風くんは疲れてるのか、先輩の部屋で寝てるらしい。
なんか、その光景を想像すると笑えちゃうのはなんでかな、
「そういや先輩、萬天の雲平帷は女性と同棲しているらしいですよ?」
「?知ってっけど?」
「今、同棲流行ってるみたいですよ。先輩」
「そうか?」
「この波に乗り遅れたくないですね。先輩」
「…そうか?」
「この波に乗れれば人生勝ち組ですね。先輩」
「何が言いてぇんだよ」
「同棲しましょうか。先輩」
………間………
「いや、意味わかんねぇし、」
「えー、反応鈍い」
もう少しいいリアクションを期待していた側としてはがっかり。
「その前に、俺とお前、恋人同士でさえなくね?」
「んー……じゃあ、」
同棲からはじめましょう。
(話、聞いてたか?)(はいっ♪)
20080917