□残酷は『無関心』
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「どうして…どうして、あの人は私のこと振り向いてくれないの?」



僕の隣りにいる彼女は涙を流しながら頭を振る。

僕は彼女の言葉よりその頭を振ったため揺れた漆黒の髪に見惚れた。



「私は好きで好きでたまらなくて…こんなに想っているのに…」



まるで僕なんかいないように彼女は言葉を並べていく
その言葉に
愛を通り越した憎悪のような黒いものが今はまだ霧のようにまわりに散っている



「こんなに、こんなにも死ぬほど想ってるのにあの人は私に見向きもしない…!!どうして!?どうして私を見てもくれないの!!」



感極まった彼女は誰にともなく咆哮する
彼女の目からは血の涙が零れそうなくらい瞳がひん剥いている

彼女が本当に血の涙を流したのなら、さぞかし美しいだろうと漠然と思った


霧のように散っていた憎悪は段々と凝結し、言葉と融合し形を成していく。



「どうして…どうして…胸が潰されそうなくらい愛しているというのに、死んでもいいくらい愛しているというのに…!!」



僕は形を成した愛という名の憎悪に導かれる美醜に満ちた彼女をただ見つめる



………………いくら…
いくら自分が死ぬほど相手のことを想っていても、
いくら人に話して慰め、庇う言葉をもらっても、
いくら愛を相手に伝えても、

相手が自分に興味も関心もなかったらそんなのはただの押し付けだ
人が庇ってあたかも相手が悪いと言ってくれても、実際には相手は何一つ悪いことは何もしていない

ただ、自分に無関心だったということだけ
ただそれだけだ

いくら叫ぼうとも、吼えようとも泣こうとも、謳おうとも
自分のことを無関心な相手に何一つ伝わらない

それすらも関心はないのだ



彼女は気づいてないだろう
僕が彼女のことに無関心な彼を想う彼女を死ぬほど愛してるということを

気づいているはずがない
現に彼女は僕のことに無関心なのだから

結局は無関心な相手には何も、何も伝わらないのだ

僕はもう理解しているから、彼女に愛は叫ばない

叫んだところで彼女の耳には届かない


だから僕は
彼女の傍にいる

そして彼女に言葉を与えるのだ



「殺したいほど愛してますか?その男を」



「………」



涙で濡れた瞳がこちらを向く

真っ黒で綺麗だ



「死ぬほど愛しているのなら殺したいほど愛してるはずです。
そんなにあなたが愛してるというのにあの男は何一つ関心を示さない」



「……、」



「これほどひどい話はありませんよ、せっかくあなたに愛されているのに愚かな男です」



「………彼のことを愚かと言わないで」



「クフフ…ごめんなさい」



いっそう嫌われてみるのもいいかもしれない
どんな形だろうとそこには気持ちがある

だが、きっと彼女は僕にはそれでも何も関心を示そうとしないだろう
それほど彼女の、脳…心、体を彼という手に入らない存在が支配している

僕は彼女にもち掛けた


彼が手に入る方法が…あるといえばある

残酷にして確実な方法が


「ねぇ…いっそう…殺してしまいましょう。殺したいほど愛してるのなら殺してもいいはずです。
それに殺してしまえば、彼はあなたのものですよ」



屍体だけれども…



彼女はじぃっと僕を見る
このままずっと永遠に僕だけを見つめていればいいのに


彼女は
花のような
白い白い純白な笑顔を浮べた



「そうね」



僕は彼女が望むままに
傍にいて
囁くのみだ



END



だぁくですな、こりゃぁ。
ちょっとダーク、てか、悲恋?になってしまいましたorz
だめならだめっていってくれー!!!(発狂)←

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